遺贈寄付

はじめに:遺贈寄付とは

「遺贈寄付」とは、ご自身が亡くなった後に残る財産の一部または全部を、遺言によって特定の団体や公益活動などに寄付することをいいます。
近年、社会貢献の一つの形として注目されており、「人生の集大成として、自分の想いを未来につなげたい」という方が増えています。
遺贈寄付の対象は、現金や預貯金に限らず、不動産や株式など多岐にわたります。

寄付先も、医療や福祉、教育、子ども支援、動物保護、災害支援など、寄付者の想いに沿った活動を行う団体を選ぶことができます。
相続財産の行き先を決める方法は、生前贈与や通常の遺言による相続分配などさまざまですが、遺贈寄付は「自分の意志で社会のために役立てる」という明確な目的を持つ点が特徴です。

また、寄付をした財産については、相続税が非課税になる場合もあり、税務面でのメリットもあります。

しかし、遺贈寄付を確実に実行するには、遺言書の作成や遺留分の配慮、受け入れ団体との事前確認など、専門的な法務知識が不可欠です。
さらには、財産を受けていない相続人にみなし譲渡所得税が課税されるリスクなどもあり、税務の知識なども必要です。

当事務所では、寄付者の想いを確実に形にするため、法務の専門家として一人ひとりに寄り添いながらサポートしています。

2. 遺贈寄付の主なメリット

遺贈寄付には、寄付者ご本人にとっても、受け取る団体や社会にとっても、さまざまなメリットがあります。

(1)自分の想いを未来に残せる
遺贈寄付は、財産の使い道を自らの意思で決められる方法です。寄付先や使途を指定することで、「自分が大切にしてきた価値観」や「応援したい活動」を、未来の世代に引き継ぐことができます。

(2)生前の生活資金に影響がない
遺贈寄付はあくまで亡くなった後に行われるため、生前の生活資金や老後の資金計画を損なう心配がありません。
「老後の暮らしを守りながら社会貢献をしたい」という方にとっても安心の方法です。

(3)税務上の優遇措置
公益法人や認定NPO法人などに寄付を行った場合、その寄付分は相続税の課税対象から除外されます。また、寄付の内容によっては他の税務メリットが得られる場合もあります。

(4)家族への負担軽減
財産の一部を遺贈寄付に充てることで、相続人間の分割協議がスムーズになったり、相続税額が減少したりするケースもあります。結果として、家族の負担軽減やトラブル回避にもつながります。

(5)社会とのつながりを持ち続けられる
遺贈寄付は、財産だけでなく「寄付者の想い」も一緒に届けます。寄付先の団体を通じて社会との絆が広がり、自分の生きた証が社会の中で形として残ります。

3. 遺贈寄付を進めるために知っておくべき法務のポイント

遺贈寄付は、寄付者の想いを形にする素晴らしい制度ですが、適切に準備をしなければ、希望通りに実行されなかったり、思わぬトラブルを招いたりすることがあります。
ここでは、特に重要なポイントをご紹介します。

(1)遺言書の形式と内容の正確さ
遺贈寄付を実行するには、遺言書の作成が不可欠です。自筆証書遺言や公正証書遺言など形式を間違えると無効になる可能性があります。また、寄付先や財産の特定方法が曖昧だと、遺言の解釈を巡って紛争が生じるおそれがあります。

(2)遺留分への配慮
法定相続人には「遺留分」と呼ばれる最低限の取り分が保障されています。遺贈寄付で財産の大半を寄付先に渡す場合、相続人から遺留分侵害額請求を受けることがあります。事前に遺留分に配慮した内容設計を行うことが重要です。

(3)受け入れ団体との事前調整
全ての団体があらゆる種類の財産を受け入れられるわけではありません。不動産や株式は換価が難しい場合があり、受け取りを断られることもあります。寄付の実行前に、団体と受け入れ可能な財産や使途について合意しておく必要があります。

(4)税務リスクの確認
公益法人等への遺贈寄付は相続税が非課税となりますが、財産を受け取らない相続人に「みなし譲渡所得税」が課税される場合があります。税務上の影響を正しく理解し、必要に応じて税理士と連携することが不可欠です。

(5)遺言執行者の選定
遺贈寄付の実行には、信頼できる遺言執行者の存在が欠かせません。司法書士など、法務と実務に精通した専門家を遺言執行者に指定することで、寄付者の意思を確実に実現できます。

当事務所では、これらの法務ポイントを踏まえ、寄付者の想いを安全かつ確実に実行できるよう、遺言作成から実行まで一貫してサポートしています。

4. 実際の流れと注意点

「遺贈寄付に関心はあるけれど、どのように進めれば良いのか分からない」という声を多くいただきます。
実際の手続きは、いくつかのステップに分けて進めることで、複雑さを感じることなく安心して準備することができます。

(1)想いを整理する
まずは「どんな団体に、どのような形で財産を託したいのか」というお気持ちを整理することから始まります。特別な知識は不要で、漠然としたイメージをお持ちいただければ十分です。ご相談の中で、私たちが一緒に整理していきます。

(2)寄付先の確認
選ばれた団体が寄付を受け入れられるかどうか、またどのように活用してもらえるのかを事前に確認しておくことが大切です。現金や預貯金だけでなく、不動産や株式なども可能ですが、団体によって対応が異なります。当事務所では、団体との調整も含めてサポートいたします。

(3)遺言書の作成
遺贈寄付を実現するためには、法的に有効な遺言書を作成する必要があります。
公正証書遺言を選ぶと、形式の不備や紛争のリスクを避けやすく安心です。
一方で、自筆証書遺言の法務局保管制度には、通知制度があるため、連絡漏れがなく実際の遺言執行手続の際に安心です。
当事務所では、公証役場や証人とのやり取りも含め、スムーズに進められるようサポートします。

(4)遺言執行者の指定
遺言に基づき寄付を実行する「遺言執行者」をあらかじめ指定しておくことで、寄付者の想いを確実に実現できます。司法書士が遺言執行者となることで、法律面・実務面の両方から安心して任せていただけます。

(5)実行とアフターフォロー
ご逝去後、遺言執行者が遺言に沿って寄付を実行します。その際、ご家族や相続人の方にも丁寧に説明を行い、寄付がスムーズに行われるよう調整します。寄付者の想いとご家族の安心、両方を大切にしたサポートを心がけています。

遺贈寄付は「社会のために役立てたい」「自分の想いを社会や未来につなげたい」という大切な想いを形にするものです。
だからこそ、最初の一歩を踏み出すときに「気軽に相談できる相手」が必要だと私たちは考えています。

当事務所では、初回相談から実行まで、分かりやすく丁寧にご案内いたしますので、安心してご相談ください。

5. 「遺贈寄付に必要な法務」(承継寄付診断士講座講師)

当事務所代表・向田恭平は、遺贈寄付に関心を持つ市民や専門家の方々に向けて「遺贈寄付に必要な法務」というテーマで講演を行いました。
講演では、遺贈寄付を正しく実行するために欠かせないポイントを、実務経験に基づいて具体的に解説しました。

(1)遺言の有効性と明確さの重要性
遺贈寄付は有効な遺言によって実現をすることができます。
しかし、遺言の形式や内容に不備があれば、せっかくの想いが実現されないこともあります。
自筆証書遺言の法務局保管制度の有効な活用方法、公正証書遺言の活用や財産の特定方法、遺贈する際の付言の活用方法など、実効性を確保するための工夫が紹介されました。

(2)遺留分に関する配慮
相続人には法律で守られた取り分(遺留分)があり、これを侵害した遺贈寄付はトラブルの火種となる可能性があります。
「寄付を実現することと、家族への思いやりのバランスを取ることが大切」と強調しました。

(3)団体との事前合意の大切さ
寄付先の団体がすべての財産を受け入れられるとは限りません。不動産や株式など換価が難しい資産については特に注意が必要です。講演では「寄付者・団体・専門家の三者で事前に十分な合意を取ること」が安心につながると説明しました。

(4)税務上の留意点
公益法人等への遺贈寄付は相続税が非課税となる一方で、場合によっては相続人に「みなし譲渡所得税」がかかることもあります。
講演では、税務の専門家と連携しながら進める必要性が強調させていただきました。

(5)専門家が伴走する意義
最後に、「遺贈寄付は財産の分け方の問題だけでなく、寄付者の想いを社会につなげる大切なプロセス。だからこそ、専門家が伴走し、寄付者とご家族双方に安心を届けることが司法書士の使命」とお話させていただきました。

このように、講演を通じて「法務の観点から遺贈寄付を安全に実行するための実践的な知識」が共有され、多くの参加者の理解が深まりました。
当事務所全体としても、同じ姿勢で日々のご相談に向き合っています。

6. ピースアップ司法書士法人としての取り組み

当事務所では、遺贈寄付を「寄付者の想いを社会へつなぐ大切な架け橋」と考えています。
そのため、単なる手続きの代行にとどまらず、寄付者ご本人・ご家族・寄付先団体すべてが安心できる形で寄付が実現するよう、総合的なサポートを行っています。

(1)初回相談のしやすさ
「遺贈寄付に興味はあるけれど、何から始めてよいか分からない」という方も少なくありません。当事務所では、専門用語を使わず、寄付者の想いを丁寧に伺うことから始めています。漠然としたご希望や不安を、そのままお話しいただければ大丈夫です。

(2)法務と税務の両面からの支援
司法書士としての法務サポートに加え、必要に応じて税理士など他の専門家とも連携し、遺贈寄付を総合的に設計します。遺留分や税務リスクなど複雑な課題にも、ワンストップで対応できる体制を整えています。

(3)団体との橋渡し
寄付者と団体の双方にとって安心できる形で寄付が実現するよう、事前の調整やコミュニケーションの橋渡しも行います。「せっかくの寄付が団体に負担をかけてしまうのでは…」といったご不安も、事前の調整で解消することができます。

(4)遺言作成から執行まで一貫サポート
有効な遺言書の作成、公正証書遺言の手続き、遺言執行者としての寄付実行まで、一貫してお任せいただけます。最後まで責任をもって伴走することで、寄付者の想いを確実に社会につなげます。

また、お一人様の方の認知症になった場合のときの財産管理の対策としての家族信託や後見制度のご案内と後見人の就任、
葬儀や納骨のサポートをする死後事務委任契約、その他相続全般に関わるご相談にも対応できますので、ご安心ください。

私たちピースアップ司法書士法人は、「遺贈寄付をもっと身近に、安心して選べる選択肢にする」ことを目指しています。
社会のために何かを遺したいという想いを、安心して形にできるよう、これからも尽力してまいります。

7. まとめ:安心して想いを未来へ

遺贈寄付は、財産の分け方を決めるだけではなく、「これまでの人生で大切にしてきた想いを未来につなげる」尊い選択です。
寄付を受けた団体にとっては大きな力となり、社会全体にとっても持続的な支えとなります。

一方で、遺贈寄付を確実に実現するためには、遺言の作成や遺留分の配慮、税務上の検討、寄付先との調整など、専門的なサポートが欠かせません。
だからこそ、信頼できる専門家と一緒に準備を進めることが安心につながります。

私たちピースアップ司法書士法人は、寄付者お一人おひとりの想いを丁寧に伺い、法務のプロとして確実に形にすることを使命としています。
「まずは話を聞いてみたい」「自分の想いを整理するところから始めたい」という段階でも構いません。どうぞ安心してご相談ください。

人生の集大成として、ご自身の想いを社会へ託す。
その第一歩を、私たちと一緒に踏み出していただければ幸いです。

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